鳥取大学の目指すところ

 鳥取大学長 豊島 良太 

 

豊島学長 国立大学法人鳥取大学は昭和24年に開設され、現在、総合大学として地域学部・医学部・工学部・農学部の4学部と、修士・博士課程の大学院及び連合大学院で構成されています。
 鳥取大学は、地域の課題を地域の人々とともに考え解決し、その過程で得られた知見を普遍化して広く国際社会に発信し、世界の平和や福祉に寄与してきました。その一例として、鳥取砂丘を研究の場とした砂防造林や砂丘農業の研究を実践に繋げ、世界の乾燥地へと拡大した足跡を挙げることができます。こうした伝統を受け継ぎ、知識を深め理論を身につけ、実践を通して地域から国際社会まで広く社会に貢献する「知と実践の融合」を理念として、教育、研究及び社会貢献に取り組んでいます。
 この理念の下、鳥取大学は教育、農業、産業、医療など多くの分野で中核となる人材の養成を行い、これまでに学士49,700余名、修士9,000余名、博士3,900余名を養成し、社会へ送り出してきました。地域の「知の拠点」として、文部科学省「地(知)の拠点整備事業」及び「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業」に採択され、人口減少・少子高齢化に適応した社会づくりや県内産業の発展に資する知財・人材の提供を目指して活動しています。同時に、国際的視野を持つ人材の養成にも力を入れており、海外での実践的な語学研修プログラムを用意し、留学を推奨しています。短期語学留学だけでなく、学術交流協定校への留学や「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム」などの長期留学も年々増加しています。一方、世界各国より年間約200名の留学生や研究者を受け入れています。そのほか、国際交流事業として世界31カ国、99機関と交流協定を結び、国際的研究と相互の親睦に努めるとともに日本社会のグローバル化に寄与しています。
 研究面では、世界有数の乾燥地研究センター(共同利用・共同研究拠点)、世界最大級の遺伝資源を持つ農学部附属菌類きのこ遺伝資源研究センター、創薬や再生医療分野に取り組む染色体工学研究センターなどの施設を持ち、多くの新知見を世界に発信しています。平成27年1月には国際乾燥地研究教育機構を設立し、世界の乾燥地の農業だけでなく教育、環境、産業、医療など諸問題の学際的検討のため全学的に取り組んでいます。
 このように、鳥取大学は「知と実践の融合」の理念の下に、多方面にわたって精力的な活動を行い、「知と地の拠点」として地域と世界の発展に寄与しています。
 

学長プロフィール

豊島 良太(てしま りょうた)  ※豊島の『豊』は異体字です。正式な文字はこちらです
 昭和24年1月14日生
 
 昭和48年 鳥取大学医学部卒業
   53年 鳥取大学大学院医学研究科博士課程修了(医学博士)
   53年 鳥取大学医学部附属病院 医員
   54年 鳥取大学医学部教務員
   56年   同    附属病院助手
   56年 アメリカ合衆国ハーバード医学校マサチューセッツ総合病院客員研究員(57年3月まで)
   62年 鳥取大学医学部附属病院 講師
   63年 鳥取大学医学部助教授
 平成11年   同    教授(整形外科学)
   15年   同    附属病院副病院長
   19年   同    附属病院長
   23年   同    医学部長 
   25年 鳥取大学長

 
 主な研究領域

 関節軟骨の構造と代謝,変形性関節症の発生と病態
 関節リウマチに伴う骨粗鬆症 

平成29年度鳥取大学入学式式辞(平成29年4月6日)

 ただ今、平成29年度 学部学生1,182名、大学院生344名、計1,526名の入学を許可いたしました。
 新入生の皆さん、入学、誠におめでとうございます。鳥取大学を代表して、心より歓迎いたします。ご来賓そしてご家族の皆さま方のおかげをもちまして、本日ここに入学式を厳かに挙行することができましたこと、深く感謝申し上げますとともに、心よりお慶び申し上げます。
 遅れていました桜も入学を祝うかのごとく開花し、皆さまには市内袋川土手の桜並木をご覧になり、入学の喜びをかみしめられたものと思います。あの桜並木は昭和27年4月の旧市内3分の2を焼き尽くした鳥取大火で焼失しており、現在の桜並木は鳥取大学の前身校である鳥取高等農業学校の卒業生、瀬川弥太郎さんが学生時代に目にした桜土手を復活させ、鳥取市に恩返しをしようと、昭和30年代後半から10年間にわたり800本の苗木を贈られ、再生したものでございます。
 さて、鳥取大学は、戦後の「高等教育の機会均等の実現と国民の教育水準の向上」を目的とした学制改革の一環として、昭和24年に学芸学部、医学部そして農学部の3学部の国立大学として設置されました。その後、昭和40年に工学部が設置され、学芸学部は平成16年より地域学部に改組され、以後、現在の4学部体制で、それぞれの学部に修士と博士課程を加えた総合大学として、教育、研究、社会貢献の責務を果たし、これまでに学士49,700名、修士9,000名、博士3,900名の人材を養成し、社会へ送り出してきました。
 鳥取大学は、前身校時代より伝統的に地域の課題を地域の人々とともに考え解決し、その過程で得られた知見を普遍化して、広く国際社会に発信し、世界の平和や福祉に寄与してきました。その一例として、鳥取砂丘をフィールドとした砂防造林や砂丘農業の研究を実践に繋げ、日本のみならず世界の乾燥地へと拡大した足跡を挙げることができます。こうした伝統を受け継ぎ、知識を深め理論を身につけ、実践を通して地域から国際社会まで広く社会に貢献する「知と実践の融合」を理念として、教育、研究及び社会貢献に取り組んでおります。
 この理念の下、鳥取大学は教育、農業、産業、医療など多くの分野で中核となる人材の養成を行い、地域の発展に寄与してきました。文部科学省「地(知)の拠点整備事業」及び「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業」に採択され、人口減少・少子高齢化に適応した社会づくりや県内産業の成長に資する人材の養成を目指して活動しております。
 同時に、国際的視野を持つ人材の養成にも力を入れており、海外での実践的な語学研修プログラムを用意し、学生時代の留学を推奨しています。その一つのメキシコでの研修は、3か月間、南バハカリフォルニア自治大学の学生と一緒に英語とスペイン語による講義を受けるとともに、カリフォルニア半島の農業や観光などに関する課題の解決というフィールドワークに挑戦していただくという中身の濃いもので、教員と学生の双方から高い評価を得てきました。その他、学術交流協定校への留学や「トビタテ!留学JAPAN」日本代表などの長期留学も年々増加しております。このように、世界的視野を備えた人材の養成にも努めておりますので、皆さんの積極的な参加を期待しています。
 一方、世界各国より年間約200名の留学生や外国人研究者を受け入れています。そのほか、国際交流事業としてアジア、北米、中南米、ヨーロッパ、アフリカなど30カ国、94機関と交流協定を結び、国際研究と相互の親睦、そして世界平和の実現に努めるとともに日本社会のグローバル化に貢献しています。
 研究面では、国際乾燥地研究教育機構や染色体工学研究センター、鳥由来人獣共通感染症疫学研究センター、菌類きのこ遺伝資源研究センター、新規医療研究推進センターなどを設置し、多くの新知見を世界に発信しています。さらに医学部、工学部、農学部の医工農の学際的連携による新しい医療機器や治療法の開発などを推し進めています。
 さて、皆さまご存じのように、現在、人工知能AIやもののインターネットIoTなどの技術革新により「第4次産業革命」と呼ばれるような変革が国の内外で起きようとしています。皆さんは、こうした急激な進歩と変革の時代に鳥取大学に入学された訳でございますが、入学することが到達目標ではなく、旺盛な好奇心を持ち大学で学ぶことにより、変革に適切に対応し、社会で活躍できる人材となる基礎を築くことが目的でございます。是非ともこのことをしっかり胸に刻んでいただきたいと願っております。先ずは、学年単位の目標をしっかり立てることが肝要です。あわせて、10年後の自分自身の姿を思い描き、人生の中でもっとも重要な青年期から壮年期の設計も少しずつ始めていただきたいと願っております。
 しばらくは受験勉強からの解放感にひたり、のんびりしようなどとは思わず、新たな目標に向けて、きちんと講義や実習を受けることが皆さんの責務です。そして、学んだことをただ記憶するのではなく、頭の中で整理し、組み立て直し、自分自身の知識体系に組み入れてください。その過程で、安易にパソコンの索引検索に頼るのではなく、図書館で関連した文書を探し出し、読み込むことが重要です。探していた文書や内容に行き着いた時の喜びや思考の末に物事の道理の一端でも理解できた時の醍醐味は、時間に余裕のある学生時代にしか味わうことはできません。
 昭和30年代まで鳥取の旧市内に分散し、建物も老朽化していた学芸学部と農学部などを現在の鳥取市湖山に新築統合された本学第三代三浦百重(ももしげ)学長が、自筆の言葉「わが願い この学園に学術尊重の風と相互信頼の念をたぎらせたい」と石碑に残しておられます。鳥取キャンパスの正門近くの欅の森にありますので、しっかり目にして、学術尊重と相互信頼を心に刻んでいただきたいと願っております。
 また、昭和20年代から20世紀梨の梨農家を熱心に指導され、「梨の神様」と親しく呼ばれ、敬慕されました本学第8代林真二学長は、「遅疑逡巡」と「付和雷同」を厳しく戒めておられました。遅疑逡巡は、いつまでも迷い、疑い、決断しないことで、付和雷同は、自分の主義主張を持たず、他人の意見に簡単に同調することでございます。
 どうぞ、皆さまには、志を大きく高く持ち、絶え間なく勉学に励み、弛み無い自己研鑽に努め、遅疑逡巡、付和雷同することなく自立した自己を作り、充実した学生生活を送っていただきますことを願い、念じております。
 鳥取大学は、学生主体、学生本位の教育を行っております。私自身も鳥取大学で学び、卒業しました。鳥取大学で学んだことを喜びとし、この上なく誇りに思っております。
 大学で学ぶことは、自らの可能性を大きく広げ、自らの将来を切り拓くことであることを重ねて申し上げ、深く心に刻み込んでいただきますよう願い、歓迎とお祝いの式辞といたします。
 本日は誠におめでとうございます。

  平成29年4月6日
   鳥取大学長 豊島 良太

平成28年度鳥取大学卒業式告辞(平成29年3月20日)