企業が求める“即戦力”を大学COC+(プラス)事業で生み出す


豊島 
本学のキャリア教育としても企業の本質を知ることは大切だと実感しています。鳥取大学では「組織の中にあってリーダーシップが取れる人間」、「中心的な人物になる資質を備えた人間」を主眼に教育をしています。ところで企業が大学側に求める人材として“即戦力”というものがありますね。

宮﨑
 
私たちが“即戦力”と考える人材は「自ら考え自ら動く人」。自分の勤めている会社について「どうやったらよくなるか」、「どうやったら成長できるか」という考えを持って、その実現に向けて自ら行動できる人を雇いたいのです。


豊島
 まさに鳥取大学の教育指導理念の「人間力」と同じですね。ただ、今の学生は、責任ある立場を避けるタイプが多いように感じます。鳥取大学の学生には、宮﨑頭取のようにガッツを持った人間になって欲しいと思いますね。


宮﨑
 私たちの頃はまだモノ、カネが少ない「いつかはクラウン」の時代でしたから。ただ若い人はやはり“刺激が欲しい”と思っています。実際、動機づけになるようなことがあればそこから急に行動しますよ。


豊島
 
若い人の潜在能力を引き出すことは本当に必要ですね。鳥取大学では平成28年度から文部科学省に採択された「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業(大学COC+(プラス)事業※1) 」が始まります。地域志向の人材育成、社会のしくみに対するイノベーション、社会貢献を推進することで地域課題の解決を図っていこうとするものです。
 この事業の最終目的は地方においてゼネラリストでありながらスペシャリストの能力を備えた人材、宮﨑頭取が言われた“即戦力”を育成することです。ひとつのジャンルではなく、金融や経営のことも分かっている、そして地域でのコミュニケーション、人の付き合いもしっかりできる人材をこれから輩出してきたいと考えています。


宮﨑
 鳥取大学にはいろんな考えを持っている学生がいますから、既成概念にとらわれずにチャレンジ精神で進めていただきたいですね。

※1…地方の大学群が自治体や企業等と協働して、学生にとって魅力ある就職先の創出や地域が求める人材養成等の取組を国が支援し、地方への「ひと」の集積を目指す事業  

 

地元企業と大学の相互交流がイノベーションを生み出す

 

豊島 地域の大学は地域貢献が大学の大きな使命です。鳥取大学は平成27年9月に鳥取県や公立鳥取環境大学、県産業技術センターなどと「とっとりイノベーションファシリティネットワーク」協定を締結しました。 

研究用設備の相互利用や研究者の人材交流、研究のマッチングなどを通じて、地域産業の高度化や高度な技術者の育成も図ります。企業にもオープン化して、遺伝子の解析装置、X線解析装置など高度な装置を地元企業でお使いいただけるように計画しています。企業とフェイストゥフェイスで研究開発や対話を増やしていくことで、企業や社会のシーズ※2とニーズのマッチングを図っていきたいですね。


宮﨑
 ビジネスや社会に新たな価値を生み出すイノベーションを実現するためにも、企業と大学の相互研究はこれからますます重要になってくるでしょう。最先端技術をどう活用するかについて、経営者サイドも感性が問われています。

企業と大学の相互交流という意味では、鳥取県内の中小企業をはじめとする多種多様な業種の現場に学生が行くことを考えられたらどうでしょうか。製造ラインをリアルタイムで見ることで、特に興味がある業種の場合なら実務を理解できるはずです。

現場での生知識を得ることで刺激を受けた学生が「将来的にこういうものを作ってみたい」と自分のやりたいことが芽生えることもあるでしょう。(現場で)興味を持っていただいた学生が「実際にその企業で働きたい」ということになれば、企業側にとっても大きなメリットが生まれます。



※2…元は英語で「種」のこと。企業が有している事業化や製品化すれば消費者にメリットを生む可能性がある技術やノウハウ。




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