地域の教育力向上は“高大の連携”がカギ。

 

豊島学長豊島 鳥取県は毎年5,000人余りの18歳人口がおり、そのうち2,000人強、約40%が大学に進学するわけですが、それがもう少し上がればということでしょうか。その中で特に、鳥取県内の高等教育機関への進学者を増やす。本学には学部学科によりますが、AO入試や推薦入試、地域枠、特別養成枠などがありますから、やる気のある地域の入学者を増やしていき、地元に定着させる。そういった手立てをしていかないといけないと思っているところです。
 そこで県立高等学校の元校長先生であった方に来ていただき、高大接続の改善を図ってもらっています。いわゆる“入学のミスマッチ”を減らしたい。どうしても何%かは「大学の選択、学部の選択を誤った」というような学生がいるので、その対策などを考えている真っ最中です。ただ一つ気になるのは、少子化により子どもたちに競争心があまりないという点。どうなんでしょうか。

山本
 そこは一つ懸念材料だと思います。


豊島
 子どもの気質が変わってきたんですか。


山本
 いや、そうではなく、少子化により競争環境が減ってきているのだと思います。そうした意味で今、小中学校では統合を進めている地域があります。逆に「地域から学校がなくなるので残してくれ」という要望もありますが、残した場合、競争環境をどうつくっていくかが工夫のしどころですね。鳥取県全体で考えても、都会の学校に比べて競争環境は随分少ない状態ですし。


豊島
 競争には、マイナスの面ばかりでなくプラスの面も必ずあるわけで、適度な競争環境があるからこそ人間は切磋琢磨するものだと思っています。それがあまりない、ぬるま湯に浸かったような状況というのはやはり良くないのではないかと。


山本
 適度な刺激が必要です。刺激という意味では、平成28年9月から鳥取県内の高校生を対象に、「グローバルリーダーズキャンパス」という事業を行っています。これは米国スタンフォード大学と連携し、「Stanford e-Japan」という通信教育サービスを活用してカリキュラムを提供するというもの。スタンフォード大学の教員が英語で様々な講義を行うのですが、それを聞いてレポートを提出したり、その講義を受けている生徒同士が参加してオンライン上で議論をしたり。「鳥取にいてもこれぐらいの学びはできるぞ」というような取り組みを展開して、子どもたちに刺激を与えていくということをやっています。また鳥取西高校では、鳥取大学にお世話になり、提携校であるオーストラリア・アデレード大学へ研修に行かせていただきました。いろいろ工夫をしながらやっています。


豊島
 確かに、若いときに外国や外国語に直に触れることは良い経験になります。鳥取県は競争が少ないことを逆手にとって、皆が中学・高校時代にグローバルな経験をすることができれば大きな強みになりますね。


山本
 そうした面がメリットで、知恵の出しどころなのでしょうね。


豊島
 さて本学は、平成29年度、「持続性社会の創生」という命題を掲げ、地域学部、農学部、大学院を改組します。地域学部は1学科3コースに再編、農学部生物資源環境学科は「生命環境農学科」に改名し6コース体制から4コース体制へ、大学院は地域学・農学の修士課程、並びに工学研究科博士前期課程を1つの研究科に統合。どの学部学科にも、自分の専門性を深めるだけでなくジェネラルな知識を豊富に取り入れ、広い視野と柔軟な思考力を持って学びを深めてほしいという願いが込められています。世界は今、地球温暖化による砂漠化の進行、食糧問題や水飢饉への不安、エネルギー問題等、数々の難しい課題を抱えています。それを解決するためには、高度な専門知識・技術はもちろん、広く他分野の知識を有し、協調性と実践力を持ったエキスパートが世界各国で必要となる。そうした人材を本学から輩出していきたいと考えています。

山本教育長
山本 今、農業にまた光が当たっていますし、工業分野も発展が著しい。高校も担い手を育てるという観点から専門高校にも力を注いでいきたいですね。当然、高校だけでは完結しない部分がありますので、鳥取大学をはじめとする県内高等教育機関としっかりタッグを組んで進めていきたいと思います。

豊島
 お互い目指す方向は同じようです。おっしゃるとおり、高大の連携はこれからの教育のポイントになってくるでしょう。ローカルを足場にグローバルな思考を養い、地域の未来を担う人材育成に共に尽力していきましょう。


対談 

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