アミノ酸から重要化成品原料をつくる新触媒技術を開発
本学工学部附属グリーンサスティナブルケミストリー研究センターの菅沼学史講師らの研究グループは、バイオマス資源由来の糖類から大量合成できるグルタミン酸を原料として、工業用溶媒、高分子化合物や農薬・医薬品の基幹物質に使われる2-ピロリドンを合成する新たな新触媒技術を発見しました。これは水素雰囲気下の比較的低温条件における担持ルテニウム触媒の特性を利用した触媒反応で、白金、パラジウム、ロジウムといった貴金属触媒では進行しません。担持ルテニウム触媒の特性を利用して他のアミノ酸にも応用できれば、再生可能なバイオマス資源であるアミノ酸が石油資源から製造する含窒素化合物に取って代わることができます。新技術では、従来技術における窒素原のアンモニア製造とその窒素固定で使われていたエネルギーを低減でき、また石油資源に頼らないため、基幹物質を持続可能な方法で製造できます。
本研究は、日本学術振興会科学研究費助成事業 若手研究(B)の支援により実施され、ドイツの科学雑誌ChemSusChemに掲載されました。
論文タイトル:One‐step conversion of glutamic acid into 2-pyrrolidone on supported Ru catalyst in hydrogen atmosphere: remarkable effect of CO activation
著者名:Satoshi Suganuma*, Akihiro Otani, Shota Joka, Hiroki Asako, Rika Takagi, Etsushi Tsuji, Naonobu Katada
掲載誌:ChemSusChem, DOI: 10.1002/cssc.201802980 (2019)
URL: https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/cssc.201802980
