○鳥取大学発ベンチャーを対象とした収益を伴う事業の対価として取得する株式等の取扱規則
令和7年3月14日
鳥取大学規則第18号
(趣旨)
第1条 この規則は,鳥取大学(以下「本学」という。)が,科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律(平成20年法律第63号)及び研究開発法人及び国立大学法人等による成果活用事業者に対する支援に伴う株式又は新株予約権の取得及び保有に関するガイドライン(平成31年内閣府・文部科学省策定)に基づき,大学発ベンチャー(鳥取大学における大学発ベンチャーの認定に関する規則(平成20年鳥取大学規則第85号)第5条に定める認定大学発ベンチャーに限る。以下同じ。)を対象とする収益を伴う事業の対価として,現金に代えて株式等を取得する場合の取扱いに関し必要な事項を定めるものとする。
一 「収益を伴う事業」とは,国立大学法人法第22条第1項各号に規定する業務の範囲のうち次に掲げるものをいう。
ア 知的財産権(鳥取大学発明規則(平成17年鳥取大学規則第117号。以下「発明規則」という。)第2条第1項第4号に規定する知的財産権をいう。)の譲渡,実施許諾及び利用許諾
イ 研究成果有体物(鳥取大学研究成果有体物取扱規則(平成24年鳥取大学規則第64号)第2条第1項に規定する成果有体物をいう。)の提供
ウ 本学が所有又は専有する施設,設備その他の資産の貸与
エ 上記のほか,特に学長が必要と認めた事業
二 「株式等」とは,株式及び新株予約権をいう。
(株式等の受入れの基準)
第3条 本学は,大学発ベンチャーが次の各号の全てに該当する場合は,当該大学発ベンチャーから,収益を伴う事業の対価の全部又は一部を現金に代えて株式等により取得することができる。
一 大学発ベンチャーが,収益を伴う事業の対価を現金により支払うことが困難であり,株式等による支払を希望するとき。
二 大学発ベンチャーの事業の成長及び発展が見込まれるとき。
三 現金による支払の免除又は軽減が大学発ベンチャーの成長に資すると認められるとき。
一 当該大学発ベンチャーが,鳥取大学における大学発ベンチャーの認定に関する規則第9条第1項各号に掲げる事項に該当するとき。
二 当該大学発ベンチャーと反社会的勢力等との関係が認められるとき。
三 学長が本学の運営に支障があると判断したとき。
(審査)
第4条 本学が,収益を伴う事業の対価について,大学発ベンチャーから株式等による支払の申込みを受けた場合は,速やかに学長に報告するものとする。
3 発明審査委員会の委員長は,前項の審査に際し,当該大学発ベンチャーの財務状況,事業計画,その他株式等の取得の妥当性を判断するために必要な情報を収集し,及び株式等の価値を公正かつ客観的に評価するため,必要に応じて外部専門家から意見を聴取する。
4 発明審査委員会の委員長は,第2項の審査結果を学長に報告するものとする。
(取得の決定)
第5条 学長は,株式等の取得の可否について,前条第4項の報告を踏まえ,役員会の議を経て決定するものとする。
(契約及び取得)
第6条 前条により株式等の取得を決定したときは,学長は,大学発ベンチャーと株式等の取得について規定した契約書を締結し,当該株式等を取得するとともに,理事(財務担当)に通知するものとする。
(株式等の管理)
第7条 大学発ベンチャーから取得した株式等は,鳥取大学固定資産等管理規程(平成16年鳥取大学規則第105号)の定めるところにより財務部経理課において適正に管理する。
(株式等保有の正当性確保)
第8条 理事(財務担当)は,前条の規定に基づき株式等を保有している間,本学財務諸表の附属明細書において,保有株式等の名称及び保有理由を開示することにより,保有の正当性を担保しなければならない。
(新株予約権の行使)
第9条 学長は,株式の上場等により新株予約権の行使が可能となった場合は,速やかに新株予約権を行使し,株式を取得するものとする。ただし,行使価格が売却価格を上回ると見込まれるときは,行使しないものとする。
2 前項に定める場合のほか,学長が必要と認めた場合には,適時に新株予約権を行使することができる。
3 学長は,本学が管理する新株予約権の行使前に,新株予約権発行会社の吸収合併等により第三者から当該新株予約権の買取りの申出があったときは,役員会の議を経て,当該新株予約権の売却を決定することができる。
4 学長は,本学が管理する新株予約権について,行使期間満了までに株式公開等が見込めない場合は,役員会の議を経て,当該新株予約権の売却等を行うものとする。
(株主としての権利行使)
第10条 学長は,取得した株式等に基づく株主総会における剰余金の配当を受ける権利等,大学発ベンチャーから経済的利益を受けることを内容とする権利について,役員会の議を経て行使することができる。
2 学長は,取得した株式等に基づく株主総会における議決権等,大学発ベンチャーの経営に参加し又は業務執行の監督・是正を行うことを内容とする権利について,原則として行使しない。ただし,議決権を行使しないことが当該大学発ベンチャーの経営に著しい影響を与える可能性があると役員会において認められた場合は,この限りでない。
(株式の売却等)
第11条 学長は,株式の売却に当たっては,原則として,換金可能な状態になった時点で売却するものとする。その際,金融商品取引法(昭和23年法律第25号)その他関係法令等を遵守し,適切に売却しなければならない。
一 換金可能な状態になった時点で,収益を伴う事業の対価に見合わないと判断した場合
二 一斉かつ大量に売却することにより価値の急激な下落を招くおそれがある場合
3 第1項の規定により株式を売却する際は,原則として有価証券処分信託,株式処分信託等を利用して行うものとする。
(インサイダー取引の防止)
第12条 株式等の売却は,資産管理責任者が,当該大学発ベンチャーに関与する役員,職員等に対し,金融商品取引法第166条第2項に定める業務等に関する重要事実の知覚状況を確認の上,適正に行うものとする。
2 資産管理責任者は,金融商品取引法第166条その他関係法令等を遵守し,大学関係職員からの情報によって本学が管理する株式等の売却時期を恣意的に操作してはならない。
(実施補償金の配分)
第13条 収益を伴う事業の対価として株式等を取得した場合における発明者への補償については,取得した当該株式等を換金して収入を得たときに限り,発明規則第12条に定めるところにより支払うものとする。
(事務)
第14条 株式等の受入れに関する事務は,研究推進部研究推進課において,受け入れた株式等の取扱いに関する事務は,財務部経理課において処理する。
(雑則)
第15条 この規則に定めるもののほか必要な事項は,別に定める。
附則
この規則は,令和7年3月14日から施行する。