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【研究成果】細胞への分子輸送を担う膜タンパク質を搭載した「エンベロープ型ウイルスレプリカ」を人工的に創ることに世界で初めて成功!
細胞への分子輸送を担う膜タンパク質を搭載した「エンベロープ型ウイルスレプリカ」を
人工的に創ることに世界で初めて成功!
概要
本学学術研究院工学系部門(工学部化学バイオ系学科、グリーン・サスティナブル・ケミストリー研究センター)の松浦和則教授と大学院生の古川寛人君らの研究グループは、京都大学大学院工学研究科の佐々木善浩准教授・秋吉一成教授らの研究グループとの共同研究により、細胞間の分子輸送に関わる膜タンパク質である「コネキシン」を搭載したエンベロープ型ウイルスレプリカを人工的に創ることに世界で初めて成功しました(図1)。
図1. 無細胞タンパク質発現系により、ウイルス由来β-アニュラスペプチドの集合体に脂質二分子膜を被覆した複合体に
膜タンパク質コネキシンを搭載した「エンベロープ型ウイルスレプリカ」を構築した。
コネキシンは脊椎動物に見られる膜貫通タンパク質であり、細胞間でコネキシン同士が結合することで「ギャップジャンクション」という穴を形成し、細胞間での分子の輸送に関わっています。一方、インフルエンザウイルスやコロナウイルスのようなエンベロープ型ウイルスは、タンパク質が集合してできるキャプシドという殻を脂質膜のエンベロープが覆った構造をとっており、そのエンベロープに膜タンパク質が埋め込まれています。しかし、これまでに膜タンパク質を搭載したエンベロープ型ウイルスのような構造体を人工的に構築した例は全くありませんでした。本研究では、ウイルス由来ペプチドと脂質膜の複合体にコネキシンを搭載した「エンベロープ型ウイルスレプリカ」を創ることに成功しました。また、コネキシンが形成するギャップジャンクションを介してエンベロープ型ウイルスレプリカから細胞への効率的な分子輸送ができることが示されました。本成果により、がん細胞などへの新しい薬物送達材料としての応用が期待されます。
本研究成果は、文部科学省科学研究費「基盤研究B」(18H02089)および新学術領域研究「分子夾雑の生命化学」(18H04558)の支援により得られたもので、2021年12月21日に英国王立化学会(Royal Society of Chemistry)が発行する「RSC Chemical Biology」誌のオンライン版に掲載されました。
※詳細はプレスリリース(PDF 1.1MB)をご参照ください。
今後の展開
本研究では、細胞間の分子輸送を担う膜タンパク質であるコネキシンを、エンベロープ型ウイルスレプリカに活性を保持したまま多数搭載することに成功しました。今後、コネキシン搭載エンベロープ型ウイルスレプリカを用いて、ギャップジャンクションを介したがん細胞等への薬物輸送システムを構築したいと考えています。また、インフルエンザウイルスのヘマグルチニン等の細胞認識性の膜タンパク質をエンベロープ型ウイルスレプリカに搭載し、細胞選択的な薬物輸送キャリヤーとしての応用を目指して研究を展開していきます。
論文情報
タイトル:Embedding Membrane Protein into Enveloped Artificial Viral Replica
著者名:Hiroto Furukawa, Hiroshi Inaba, Yoshihiro Sasaki, Kazunari Akiyoshi, and Kazunori Matsuura*
掲載誌:RSC Chemical Biology
DOI: 10.1039/D1CB00166C
URL: https://pubs.rsc.org/en/Content/ArticleLanding/2022/CB/D1CB00166C