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"柔固体"型電池の共同開発に成功 ~新素材による高容量化で、次世代電池の早期実用化に貢献~
"柔固体"型電池の共同開発に成功
~新素材による高容量化で、次世代電池の早期実用化に貢献~
概要
国立大学法人京都大学、国立大学法人鳥取大学、住友化学株式会社は、このたび、共同開発した柔軟性のある新素材により、圧力を加えずに高容量の固体型電池を安定作動させることに成功しました。次世代二次電池として注目される固体型電池の実用化に向けて、産学で新しいコンセプトの素材開発に取り組んだ結果、課題となっていた固体電解質の柔軟化にこぎつけました。この成果は、11月8~10日に開催される「第63回電池討論会」(福岡市)にて発表いたします。
全固体電池は、現在主流のリチウムイオン二次電池に用いられる電解液を固体にしたもので、容量と充放電時間、安全性の課題を払拭する切り札として、近年注目を浴びています。しかし、硫化物系無機化合物をベースとした固体電解質は硬く、柔軟性に乏しいため、良好な電池作動のために固体電解質と電極との界面をいかに接合するかが課題でした。一般的には、電池セルに圧力を加えることで界面を接合させて電池を作動させますが、加圧に必要な部品などの重量およびコストが増加する上、接合が弱いと性能が低くなります。そこで、2020年に設立した当産学共同講座では、柔軟性を兼ね備えた固体電解質により、圧力を加えなくても電極との界面接合が可能になる"柔固体"型電池の動作実証を目指してきました。京都大学、鳥取大学と住友化学の研究者が試行錯誤を重ねた結果、新素材を用いることで、無加圧方式で約230 Wh/kgの容量達成に成功しました。加圧に必要な部品を省くことができるため、電池の重量およびコストの大幅な削減が見込まれ、安全性の高い固体型電池の早期実用化が期待できます。
固体型電池は、高容量や長寿命といった特長を生かし、私たちの日常生活に欠かすことのできないスマートフォンやウェアラブル端末、医療機器などの民生用小型電池向けに開発が加速しています。さらに、航続距離や充電時間の観点から高エネルギー密度および高出力特性が求められるEV用の次世代電池など、幅広い分野への応用が期待されています。
柔軟な新素材を用いた高容量固体型電池
産学共同講座概要
・講座名:「固体型電池システムデザイン」
・代表者:京都大学 大学院 工学研究科 安部 武志 教授
・参画教授
京都大学 大学院 工学研究科 陰山 洋 教授
京都大学 大学院 工学研究科 大内 誠 教授
京都大学 大学院 エネルギー科学研究科 松本 一彦 准教授
鳥取大学 大学院 工学研究科 坂口 裕樹 教授
鳥取大学 大学院 工学研究科 野上 敏材 教授
※住友化学からも研究者が、特定教授、特定准教授、研究員として参画
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